小学校3年生から学校が苦手になり、小学生の間はたまに教室に入れる時間があるだけ。
中学生になってからはまったく教室に入れなくなり、3年間、適応支援教室と通級、フリースクールで過ごした、うちの2番目さんが、通信制高校に入ること決めた後の話です。
できるかもしれない、できないかもしれない
中学3年生の1年間で、ずいぶん成長したなと思う反面、まだ不安定さもありました。
もともと大きな声を出したり、過度に反抗的な態度をするタイプではないのですが、急に不安が強くなって適応支援教室に行けなくなってしまうことはありました。
慣れた場所に行くのは問題なくできるものの、ルーティン化していない行動については強い不安を感じるタイプですが、ごくたまに、不安が強くなってしまうと、慣れた場所にも行けないことがありました。
家で私と話しているときには、落ち着いているし、考えもしっかりしている。私の考え方がおかしいことがあれば指摘もしてくれる。
今までなら、自分の話がなかなか理解されないときにすぐイラっとしていたのが、中学3年生になって、だんだんと、落ち着いて対応できるようになってきたなと思うことが増えました。
もしかしてこの子、学校でもどこでもひとりで行けるんじゃないかな?
と、ある時に思って、それを本人にも伝えてみました。
本当はあなたはもうなんでもできるようになっているんじゃないかと思う。ただ、これまでずっと挑戦していないから、なんとなくできないような気がしているだけなんじゃないかな、と。
本人は何も言いませんでしたが、否定するわけではありませんでした。その様子を見て、本人も「もしかしたらできるのかも」と思っている部分もあるのではないかと思いました。
自分の心の中にある不安を外に出す
通信制高校の受験準備が進みます。
中学校側に書いてもらう書類を先生にお願いしたり、願書提出の準備をしたり、写真を撮りに行ったり…。
受験の準備は、今までと違うことをいろいろやらなくてはいけません。2番目さんが苦手な「初めての経験」が小さいけどたくさん続いていきます。
本人が受験で一番ハードルを感じているのは面接でした。親がついていけるわけではない。ひとりで部屋に入って、話をしなくてはいけない。何を言われるのか、聞かれるのかもわからない。苦手なことだらけです。
考えただけでゆううつになってしまうようで、受験の準備ひとつひとつに対して、ネガティブなイメージを持ってしまうようでした。
少し元気がなくなっても、良いことがあったり、楽しみがあったりすると多少機嫌が戻ってきて、なんとか日常を過ごしているような日々の中、ある時本人が不安を口にしました。
「今まで中学校も行けていないのに、高校生になんてなれるわけない!」
自分の中にある不安を、ちゃんと言葉で表現して伝えてくれた瞬間でした。
暗い顔をして、不機嫌そうにすることはあっても、自分の不安を言葉にして表現することができなかった子が、自分の不安のもとがなんなのかを自分の言葉で外に出すことができたのです。
その不安は当たり前で、それを言えるようになったことが成長だし、言えたことがとても大事なことだと伝えました。
前に向かっていると感じられる瞬間
受験が近づいてきて、ネガティブになりながら、受験がこわいことや、高校生になることに対して不安があること、面接がすごく心配なことを伝えてくれます。
「本当に嫌すぎる」と言いながら、苦笑いしているのを見たときに、「わー本当に本当に成長したなぁ!」と私は心の中で喜んでいました。
すごく不安で、なんとかして逃げ出したい気持ちだったと思います。でもやらないといけないという気持ちもある。
今までなら、やらないといけない気持ちと、でもできないという気持ちの中で、イライラしたり泣いたり怒ったりしてたのが、少しだけでも笑えるようになっている。
死にそうに不安だったことを、笑うことができるようになったということは、自分という感覚の内側でもやもやしているだけだったのが、違う視点から自分を見られるようになったということではないでしょうか。
まとめ
「高校生になる」と決めたあとも、いつ「やっぱり無理」とか「やっぱりやめる」と言い出してもおかしくないと思っていました。
そしてそうなったら、話し合いは必要だけど、無理強いすることはできないだろうと感じていました。私の人生ではなく、子供自身の人生なのですから当たり前ですよね。
私から見える姿だけでなく、それ以上にたくさん悩んでいたし、苦しい気持ちにもなっていたのだと思います。それでも逃げ出さずに進めただけでも大きな前進だと思います。
(4)では、実際の受験のことを書ければと思います。